2022年も11月にはいり今年ももうわずかとなってまいりました。
例年この時期になりますと、お勤めの会社で年末調整のため、各種書類の記載・提出が求められます。
お勤めの会社によって、多少違いはありますが、以下のような書類について提出が求められることになります。
①令和4年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
②令和5年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
③令和4年分 給与所得者の保険料控除申告書
④令和4年分 給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
こちらでは、③の【給与所得者の保険料控除申告書】について、記載例などを基に書き方のご説明をしていきたいと思います。
なお、本ページの利用にあたっては以下の点にご注意ください。
1.【各種所得控除を受けられるか】についてはかなり省略して記載しております。あくまで【各種控除を受けられる場合の記載方法】の確認として本ページをお使いいただければと思います。
2.細かい記載方法についてはお勤めの会社により指示がある場合があります。本ページでは弊事務所の「クライアント向けにご説明するなら・・・」という前提でご説明をしておりますが、具体的に指示がある場合はそちらに従ってください。
保険料控除申告書 の全体像
この資料は上記のように4つの所得控除額の計算用紙が1枚の中にまとめられています。
4つのいずれの控除も受けない場合には本来提出は不要ですが、単なる出し忘れと区別するために、弊所では受ける控除がない方にもご提出をお願いしております。
基本情報 の書き方
まず、基本情報として会社から給与を受けるあなたの情報を記載します。
同時に配布されている扶養控除等(異動)申告書に記載の住所と同じ住所を記載してください。
【記載内容と留意事項】
①あなたの氏名
必ずフリガナをご記載ください。
②あなたの住所又は居所
扶養控除等(異動)申告書に記載の住所をご記載ください。
生命保険料控除 の書き方
まず、生命保険料控除の記載方法です。
生命保険料控除は生命保険や医療保険、介護保険、個人年金保険などの掛け金のうち、一定の要件をみたすものを支払っている方が受けられる控除です。
保険会社から送付されてくる控除証明書を転記しますので、お手元に控除証明書を用意してご記載ください。
【記載内容と留意事項】
③保険会社等の名称
略称でかまいません。
④保険等の種類
控除証明書から転記してください。長い場合は分かるように省略していただいて差し支えありません。
⑤保険期間又は年金支払期間
控除証明書から転記してください。
⑥保険等の契約者の氏名
契約者があなたでない場合にも保険料を負担している場合には控除を受けられる場合があります。
ただし、保険金や給付金の受取時の課税関係に影響が出る可能性がありますのでご注意ください。
⑦保険金の受取人・続柄
控除証明書には記載されていない場合もありますので、その場合はご契約を確認いただきご記載ください。
⑧新・旧の区分
控除証明書をご確認ください。
⑨あなたが本年中に支払った保険料等の金額
年末まで契約を継続する場合には、控除証明書に記載されている「12月末時点の予定支払額(※)」を転記してください。
※保険会社により名称が異なるようです。年間の支払保険料合計額が記載されているものを転記ください。
⑩(a)のうち新(旧)保険料等の金額の合計額
⑨に記載した保険料を、⑧の区分に応じて集計します。
⑪A(B)の金額を下の計算式Ⅰ(Ⅱ)に当てはめて計算した金額
新旧の区分に応じて、下部の計算式を用いて計算します。
それぞれ上限額があるため、上限額に気を付けてください。
⑫計(①+②)
⑪の金額を合計します。上限額があるため、上限額に気を付けてください。
⑬【一般の生命保険料】枠での控除額
⑭【介護医療保険料】枠での控除額
⑮【個人年金保険料】枠での控除額
⑯生命保険料控除額
⑬+⑭+⑮ ※上限が120,000円となります。
地震保険料控除 の書き方
次に、地震保険料控除の記載方法です。
地震保険料控除は地震保険や損害保険の掛け金のうち、一定の要件をみたすものを支払っている方が受けられる控除です。
保険会社から送付されてくる控除証明書を転記しますので、お手元に控除証明書を用意してご記載ください。
【記載内容と留意事項】
⑰保険会社等の名称
略称でかまいません。
⑱保険等の種類(目的)、⑲保険期間、⑳保険等の契約者の氏名
控除証明書から転記してください。
㉑保険等の対象となった家屋等に居住又は家財を利用している者等の氏名、あなたとの続柄
この保険の対象となっている物を利用している方の氏名とあなたとの関係性をご記載ください。
㉒地震保険料又は旧長期損害保険料区分、㉓あなたが本年中に支払った保険料等のうち、左欄の区分に係る金額
控除証明書から転記してください。
㉔Ⓐのうち地震保険料の金額の合計額
㉒の区分が【地震】である保険契約の保険料(㉓の金額)の合計額をご記載ください。
㉕Ⓐのうち旧長期損害保険料の金額の合計額
㉒の区分が【旧長期】である保険契約の保険料(㉓の金額)の合計額をご記載ください。
㉖地震保険料控除額
㉔、㉕を算式に当てはめて計算した金額をご記載ください。
社会保険料控除 の書き方
次に、社会保険料控除の記載方法です。
あなたやあなたと生計を一にする親族の社会保険料で、1年間にあなたが支払った額が所得控除になります。
例えば、過去の未納期間の国民年金保険料や就職前のお子さんの国民年金保険料を支払った場合、ご高齢の親御様の介護保険料などが想定されます。
なお、会社の給与から天引きされている社会保険料は会社の方で把握していますので記載不要です。
【記載内容と留意事項】
㉗社会保険の種類
国民年金、国民健康保険などが該当します。
㉘保険料支払先の名称
国民年金の場合 → 日本年金機構
国民健康保険の場合 → 保険者である地方自治体(「大阪市」等)
㉙保険料を負担することになっている人
この保険料を本来支払うべき人の氏名を記載し、あなたとの続柄をご記載ください。
その際、この方があなた本人かあなたと生計を一にする親族であることを確認してください。
㉚あなたが本年中に支払った保険料の金額
「本年分の保険料」という意味合いではなく、「本年中に支払った」保険料の金額であることに注意してください。
未払いのものは含まれませんので、ご注意ください。
㉛合計(控除額)
㉚の合計金額をご記載ください。
小規模企業共済掛金等控除 の書き方
最後に、小規模企業共済等掛金控除の記載方法です。
あなたが本年中に支払った以下のものがある場合、その掛金の全額が所得控除となります。
・小規模企業共済
・企業型DC
・iDeCo
・心身障害者扶養共済掛金
なお、会社の給与から天引きされている社会保険料は会社の方で把握していますので記載不要です。
【記載内容と留意事項】
㉜独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金
小規模企業共済の掛金をご記載ください。
㉝確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金
企業型確定拠出年金(企業型DC)の掛金をご記載ください。
㉞確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金
個人型確定拠出年金(いわゆるiDeCo)の掛金をご記載ください。
㉟心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金
心身障害者扶養共済の掛金をご記載ください。
なお、上記は全て「あなたが」支払ったものに限ります。【社会保険料控除】などと異なり、生計が同じ親族の分を実質負担したとしても控除は受けられません。いずれも各機関から【小規模企業共済等掛金払込証明書】が送られてくるため、
あなた名義の証明書の分だけを記載したうえで、原本を会社に提出してください。