経営のヒント|節税|タックスプランニング
節税・タックスプランニングの考え方
Tax Planning — How to Think
節税とは、税法の範囲内で合法的に税負担を減らすことです。資金は経営における血液ですから過剰に納付する必要はありませんが、節税を意識するあまり資金繰りを悪化させる事例も少なくありません。税理士とともに資金繰りも含めたタックスプランニングの最適解を目指しましょう。
← 社長の手帖に戻るまず税金の計算の仕組みを確認しておきましょう。法人税も所得税も以下の算式で税額を計算します。
つまり税額を下げるには、「課税所得を下げる」か「税率を下げる」の大きく2つに分かれ、さらに「税額を直接少なくする」租税特別措置などの適用の有無を検討することになります。
| アプローチ | 内容 |
|---|---|
| ① 課税所得を下げる | 経費・控除で課税所得を圧縮する |
| ② 税率を下げる | 法人化・所得分散・役員報酬の最適化 |
| ③ 税額を直接減らす | 租税特別措置・税額控除の活用 |
経費の適正計上・各種所得控除の活用
② 税率を下げる
法人化・所得分散・役員報酬の最適化
③ 税額を直接減らす
中小企業投資促進税制・賃上げ促進税制など
節税のアプローチは、さらに「キャッシュアウトを伴うかどうか」と「永久的な節税か繰り延べか」の2軸で整理できます。自分が取ろうとしている手法がどこに当てはまるかを理解したうえで判断することが大切です。
| ★ 永久的な節税 | ⏳ 繰り延べ | |
|---|---|---|
| キャッシュアウト なし |
最も効果が高い ・青色申告特別控除 ・各種税額控除 ・欠損金の繰越控除 |
限定的 ・引当金の計上 ・圧縮記帳の適用 |
| キャッシュアウト あり |
支出が伴うが効果あり ・設備投資(税額控除) ・役員報酬の適正化 ・福利厚生費・社宅・旅費規程 |
⚠ 要注意 ・節税保険(一部) ・小規模企業共済 ・経営セーフティ共済 |
節税で税負担を減らしても、手元のお金が減ってしまっては本末転倒です。税理士としてだけでなく、CFP(ファイナンシャルプランナー)の視点から、「税を減らすこと」と「お金を残すこと」は必ずしも一致しないということをお伝えしたいと思います。
解約返戻率が100%未満のいわゆる節税保険に加入した場合、保険料として支払ったお金の一部は戻ってきません。節税効果で税負担は減っても、キャッシュフロー全体でみると純減になっているケースがあります。
また、キャッシュが節税策に「塩漬け」になることで失う「運用の機会」も見逃せません。中小企業の経営者であれば、手元の資金を自社の事業や運用市場で活用することで増やせるはずです。
タックスプランニングを正しく判断するうえで欠かせないのが「現在価値」という考え方です。手元にある今の100万円と、将来受け取る100万円は同じ金額でも価値が異なります。今の100万円は運用すれば増やすことができますが、固定されたお金にはその機会がありません。
具体例として倒産防止共済(経営セーフティ共済)で考えてみましょう。掛金が全額損金になる一方、解約時には解約返戻金が全額益金に算入されます。40か月以上加入すれば返戻率100%となるため、税務上の純効果はゼロです。
解約時に課税されることがわかっているため、多くの場合は解約せずに長期間保有し続けることになります。では仮に800万円(上限額)を10年間保有した場合、運用の観点からどれほどの差が生じるか確認してみましょう。
| 倒産防止共済 | 年5%複利運用 | |
|---|---|---|
| 元本 | 800万円 | 800万円 |
| 10年後 | 800万円 | 約1,303万円 |
| 差額 | 約503万円の機会損失 | |
